中国の歴史に輝く英雄たちの中で、三国志の時代に活躍した蜀漢の武将・趙雲は、その勇猛果敢な姿勢と忠義心で知られています。
彼の数々の武勇伝は、歴史のページに刻まれ、後世に語り継がれています。
本稿では、趙雲の卓越した武功とその逸話に焦点を当て、その生涯を探ります。
長坂の戦いで劉禅を救出
趙雲は身長184cmで体つきはたくましかったと言う。
若い頃、兵を引き連れて公孫瓚に仕え、公孫瓚の将として袁紹との戦いに派遣された劉備に、主騎として従った。
趙雲は、劉備の武勇と人柄に心酔し、劉備に仕えることを決意した。『趙雲別伝』によれば、「劉備と同じ床で眠った」という。
やがて、劉備は公孫瓚のもとから離れて荊州に赴き、曹操の南下を迎え撃った。
曹操軍の圧倒的な戦力に、劉備軍は敗走を余儀なくされた。
趙雲は、劉備の息子である劉禅とその生母の甘夫人が敵軍に捕らえられたことを知ると、単身で敵陣に乗り込み、二人を救い出した。この功績により、趙雲は牙門将軍に昇進した。
この戦いの最中、趙雲が曹操に降伏したという噂が流れた。しかし、劉備は、「子龍は決して見捨てて逃げたりしない」と言って、その者を打ち据えたという。
空城計で曹操軍を退却
漢中争奪戦は、劉備軍と曹操軍が漢中をめぐって争った戦いである。
劉備軍は、諸葛亮の策謀によって曹操軍を打ち破り、漢中を奪取した。
しかし、曹操軍は撤退せず、再び漢中奪還を狙って兵を集めた。
曹操軍は、劉備軍が漢中を守る兵力が少ないと判断し、趙雲の陣営に追撃を仕掛けた。
趙雲は、寡兵ゆえに正攻法で戦っては勝ち目がないと判断し、奇策を思いついた。
趙雲は、門を大きく開いて旗を伏せ、進撃の合図である太鼓を鳴らすことを止めさせた。
曹操軍は、趙雲の陣営に伏兵がいるのではないかと疑い、進撃をためらった。
趙雲は、この隙に、太鼓を鳴らして進撃し、努を発射して背後からも曹操軍を攻撃した。
曹操軍は、趙雲の奇襲に驚き、混乱に陥った。
さらに、趙雲軍の猛攻を受けて、漢水に落ちて大きな損害を受けた。
この戦いにおいて、趙雲は、寡兵を率いて曹操軍を撃退するという大功を立てた。
劉備は、趙雲の勇敢さと智謀を称賛し、彼を「虎威将軍」と呼んだ。
第一次北伐で殿軍を務める
趙雲は、諸葛亮の第一次北伐に従軍し、箕谷の戦いで囮役を務めた。
曹操軍は、趙雲軍が主力軍と勘違いして大軍を派遣したが、諸葛亮の策謀によって、曹操軍は蜀軍の本陣を攻撃することができなかった。
しかし、曹操軍は趙雲軍を追撃し、趙雲軍は敗退を余儀なくされた。
趙雲は、殿軍を務め、軍需物資をほとんど捨てずに撤退を成功させた。
諸葛亮は、趙雲の殿軍としての功績を称え、褒美として軍需物資の絹を分け与えようとした。
しかし、趙雲は、「負け戦であったのに、どうして下腸があるのでしょう。物資は、すべて蔵におさめ、冬の支度品とされますように」と進言した。
趙雲は、敗戦の責任を自ら負い、褒美を辞退した。
この趙雲の行動は、諸葛亮の心を深く動かし、諸葛亮は趙雲を「子龍は決して見捨てて逃げたりしない」と称賛した。
まとめ
蜀漢の猛将・趙雲、その武勇伝は歴史に刻まれた一篇の叙事詩。
彼の勇猛果敢、忠義心、知略、冷静な判断力はまさに時代を超える英雄の輝き。
三国志の戦場で舞ったその一筋の光、果たしてそれは何者だったのか──。
