三国志の英雄、関羽。
彼の名は武勇と忠義で知られていますが、もう一つの側面として商売の神「財神」としても崇められています。
なぜ武将である関羽が、商売の神、さらには全知全能の神として信仰されるようになったのか、その背景を探ってみましょう。
関羽の生涯と信仰の始まり
関羽（関聖帝君）は、中国三国時代の武将であり、劉備に仕えていました。
その忠義心と勇猛さから「武聖」とも呼ばれています。
しかし、関羽が神格化されたのはその死後のことで、特に商売の神として信仰されるようになったのは、宋代以降のことです。
山西商人との結びつき
関羽が商売の神として崇められるようになった背景には、山西商人との深い関わりがあります。
山西商人とは、中国の山西省を中心に活動した商人集団です。
特に明代から清代にかけて、彼らは中国国内外で活躍し、大きな経済力を持っていました。
その成長の一因には、塩の取引があります。
解池（かいち）という中国最大の塩生産地からの塩を扱うことで、莫大な財を築き上げました
宋代の財政において、塩税は非常に重要な収入源であり、その塩税を取り扱った山西商人たちは、関羽を守護神として祀り、彼の加護を祈るようになりました 。
忠義と商業の象徴
関羽の商売の神としての地位は、彼の忠義心と信頼性に由来します。
商売においても、信頼と誠実さは非常に重要な価値観です。
山西商人たちは、自分たちの成功の象徴として関羽を崇めました。
彼の武勇伝と忠義が、商人たちの商売道徳と結びつき、彼を守護神とする信仰が広がったのです。
特に塩の取引で財を成した彼らにとって、関羽は正義と繁栄を象徴する存在でした関羽の人格と行動は、商人たちにとって理想的な模範となりました。
その結果、関羽は商業成功の象徴となったのです 。
民間信仰と国家の後押し
関羽が商売の神として広く信仰されるようになったのは、単に商人たちの信仰だけではなく、国家の後押しも大きく関与しています。
宋代以降、関羽は国家の守護神としても崇められ、多くの皇帝が関羽を敬い、彼に祈りを捧げました。
これにより、関羽は武神だけでなく、財神としての側面も強調されるようになりました 。
現代における関羽信仰
現代においても、関羽は広く信仰されています。
関羽が商売の神として崇められる理由の一つに、彼の祭礼が全国的に広がったことがあります。
関羽を祀る関帝廟は、中国全土に広がり、商人たちの信仰の中心地となりました。
関帝廟では、商売繁盛や安全を祈る祭りが頻繁に行われ、商人たちの精神的な支えとなっていました。
中国本土はもちろんのこと、台湾、香港、マレーシア、シンガポールなどの華人社会でも、関羽の像が祀られ、商売繁盛を願う人々が参拝しています。
このように、関羽の神格化は時代とともにその意義を変えつつも、今なお多くの人々にとって重要な存在であり続けています 。
まとめ
関羽が商売の神として崇められるようになった背景には、彼の忠義心と誠実さ、そして山西商人との深い結びつきがありました。
さらに、国家の後押しによってその信仰は広まり、現代に至るまで多くの人々に信仰され続けています。
関羽の物語は、商業成功の象徴として、そして誠実さの価値を伝える重要な教訓として、今もなお人々の心に深く根付いています。
このように、関羽の神格化と商売の神としての信仰には、歴史的背景と人々の願いが複雑に絡み合っていることがわかります。
関羽の物語は、ただの歴史的事実にとどまらず、現代に生きる私たちにも多くの示唆を与えてくれるのですね！！
